有機農業の開業ガイド
必要な許認可・費用・手続きの流れを徹底解説
最終更新: 2026-04-16
7件
必須の許認可
65,000〜250,000円
費用の目安(合計)
最大90日
想定期間
最大難易度
目次
有機農業とは
有機農業の開業には、農地法や漁業法に基づく許認可が必要です。地域の農業委員会や漁業協同組合との調整が重要なステップとなります。
有機栽培による農産物の生産
有機農業を開業するには、合計12件の許認可が関係します(必須: 7件、条件付き: 5件)。 このガイドでは、それぞれの許認可について費用・期間・必要書類を詳しく解説し、 開業までの具体的なステップをご案内します。
開業までのリアルなタイムライン
全ての許認可取得に3ヶ月程度。並行して進められる手続きもあるため、効率的なスケジュールを組みましょう。
農林水産省管轄
都道府県知事管轄
税務署管轄
※ 異なる管轄の許認可は並行して申請できる場合があります。同じ管轄の許認可は順番に申請が必要な場合があります。
有機農業の開業までのステップ
事業計画の策定
有機農業の事業計画を策定します。事業内容・ターゲット・収支計画を明確にし、必要な許認可を洗い出しましょう。
資金調達・物件確保
開業資金を調達し、営業拠点となる物件を確保します。許認可によっては施設基準があるため、物件選定時に要件を確認しましょう。
許認可の申請・取得
必要な許認可を一つずつ申請していきます。申請順序にも注意が必要です。先に取得が必要な許認可がある場合があります。
届出・登録手続き
税務署への開業届、社会保険の届出、各種届出を行います。法人設立の場合は登記も必要です。
開業・営業開始
全ての許認可を取得し、届出が完了したら営業を開始できます。許認可の更新時期を管理し、期限切れに注意しましょう。
有機農業に必要な許認可一覧
必須の許認可(7件)
有機農産物・有機加工食品の認証。認定機関による審査を受けて有機JASマークを使用。
申請ステップを見る(4ステップ)
- 認定機関に有機JAS認証申請
- 生産行程管理者の配置
- 認定機関による書類審査・実地調査
- 認証・有機JASマークの使用開始
必要書類(9件)
- ●内部規程- 有機農産物の生産・出荷に関する内部規程
- ●有機JAS認証申請書- 所定の様式による認証申請書
- ●有機農産物の生産行程管理記録- 有機栽培の生産工程・使用資材の管理記録
- ●圃場の見取図- 有機栽培を行う圃場の位置・区画図
- ●使用資材一覧- 使用する肥料・農薬等の資材一覧(有機適合品)
- ●有機JAS認証申請書- 認定機関所定の様式。
- ●生産行程管理記録- 有機栽培の管理記録。
- ●圃場マップ- 有機栽培圃場の配置図。
- ●使用資材リスト- 肥料・農薬等の使用資材一覧。
条件によって必要になる許認可(5件)
農地を農地以外の用途に転用する場合に必要な許可。農地の所有者自身が転用する場合(4条)と、所有権移転等を伴う転用(5条)がある。
※ 農地転用の場合
申請ステップを見る(4ステップ)
- 農業委員会に事前相談
- 農地転用許可申請書の提出
- 農業委員会の意見聴取
- 都道府県知事(または農林水産大臣)の許可
必要書類(5件)
- ●土地利用計画図- 土地の利用計画を示す図面
- ●営農計画書- 農業の経営計画を記載した書面
- ●農地転用許可申請書- 所定の様式による農地関連の申請書
- ●位置図・公図の写し- 土地の位置を示す地図・公図の写し
- ○周辺農地への影響説明書- 周辺の農地への影響を説明する書面
有機農業の開業にかかる許認可費用の目安
65,000〜250,000円
必須許認可の取得費用合計(申請手数料のみ)
※ 上記は申請手数料のみの目安です。行政書士に依頼する場合は別途報酬(3〜15万円程度/件)がかかります。 設備投資費・物件取得費は含みません。
開業までの想定期間
最大 約90日
最も時間のかかる許認可の取得期間
複数の許認可を並行して申請できる場合もあります。 ただし、先に取得が必要な許認可がある場合は順番に申請する必要があるため、 余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
有機農業の開業資金の全体像
許認可費用だけでなく、設備投資や運転資金も含めた開業資金の全体像を把握しましょう。
必須の7件の許認可取得にかかる申請手数料の合計
専門家に申請代行を依頼する場合の報酬。自分で申請する場合は不要
事業に必要な設備・内装等の初期投資の参考額
開業後、売上が安定するまでの運転資金
※ 設備投資額・運転資金は事業規模や地域によって大きく異なります。 上記はあくまで参考値です。実際の開業計画に合わせて、詳細な資金計画を策定してください。 日本政策金融公庫の「創業計画書」の作成をおすすめします。
先輩事業者の声 - 開業前に知っておきたいこと
農地の取得・転用には農業委員会の許可が必要です。手続きに数ヶ月かかるため、早めに相談しましょう。
新規就農者向けの支援制度(補助金・融資)が充実しています。自治体の農業担当部署に相談しましょう。
6次産業化(加工・販売まで手がける場合)は、追加の許認可が必要です。事業計画段階で検討しておきましょう。
有機農業で気をつけるべき法規制
有機農業に関連する主な法律と、違反した場合の罰則をまとめました。 法令を遵守し、適正な事業運営を行いましょう。
農地法
農地の権利移動や転用を規制する法律。無許可転用には罰則(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)があります。
漁業法
漁業権の設定と漁業の秩序維持を規定。無許可操業には罰則があります。
食品衛生法
農水産物の加工・販売を行う場合に営業許可が必要です。
この業種の許認可に関連する法令:
有機農業の開業に必要な書類まとめ
全ての許認可で必要となる書類を重複なくまとめました。 事前に準備しておくことで、スムーズに申請を進められます。
- ●内部規程
有機農産物の生産・出荷に関する内部規程
- ●有機JAS認証申請書
所定の様式による認証申請書
- ●有機農産物の生産行程管理記録
有機栽培の生産工程・使用資材の管理記録
- ●圃場の見取図
有機栽培を行う圃場の位置・区画図
- ●使用資材一覧
使用する肥料・農薬等の資材一覧(有機適合品)
- ●生産行程管理記録
有機栽培の管理記録。
- ●圃場マップ
有機栽培圃場の配置図。
- ●使用資材リスト
肥料・農薬等の使用資材一覧。
- ●農地転用許可申請書(第5条)
権利移動を伴う転用許可の申請書
- ●売買契約書(写し)
農地の売買に関する契約書の写し
- ●事業計画書
転用後の土地利用計画書
- ●資金証明書
事業実施に必要な資金を証明する書類
- ●農薬使用届出書
農薬の使用に関する届出書
- ●農薬使用計画書
使用する農薬と使用計画を記載した書類
- ●推進計画書
有機農業推進の地域計画書
- ●参加農業者リスト
計画に参加する農業者の一覧
- ●大麻栽培者免許申請書
大麻栽培者免許の申請書
- ●栽培計画書
栽培目的、面積、方法を記載した計画書
- ●栽培場所の図面
栽培場所の配置図
- ●身分証明書
申請者の本人確認書類
- ●本人確認書類
マイナンバーカード又は通知カード+運転免許証等
- ●個人事業の開業・廃業等届出書
国税庁サイトからダウンロード可能
- ●農地転用許可申請書
農地法第4条に基づく転用許可の申請書
- ●土地の登記事項証明書
対象農地の登記情報を証明する書類
- ●位置図・現況写真
農地の位置と現在の状況を示す資料
- ●有機JAS認定申請書
有機JAS認定を申請する書類
- ●ほ場の位置図
有機栽培を行うほ場の位置図
- ●農地権利移動許可申請書
農地法第3条に基づく権利移動許可申請書
- ●営農計画書
取得後の農業経営計画を記載した書類
- ●農業経営改善計画認定申請書
認定農業者の認定を申請する書類
- ●経営改善計画書
5年後の経営目標と改善計画
- ●経営状況の資料
現在の経営状況を示す書類
- ●土地利用計画図
土地の利用計画を示す図面
- ●位置図・公図の写し
土地の位置を示す地図・公図の写し
- ●法人設立登記申請書
法人設立登記に必要な所定の様式による申請書
- ○農薬ラベルの写し
使用する農薬のラベル情報
- ○実施スケジュール
計画の実施スケジュール
- ○周辺農地への影響説明書
周辺の農地への影響を説明する書面
- ○納税証明書
税務署発行の納税証明書
- ○定款の写し(法人の場合)
法人の定款の写し
有機農業の開業に関するよくある質問
Q. 有機JAS認証の取得にかかる費用は?
A. 認定機関により異なりますが、初回認証で5〜20万円程度、年次検査で3〜10万円程度かかります。
Q. 有機JAS認証の更新頻度は?
A. 年1回の定期検査が必要です。不合格の場合は認証が取り消されます。
Q. 「オーガニック」と表示するには有機JAS認証が必須ですか?
A. はい、日本で「有機」「オーガニック」と表示するには有機JAS認証が必要です。無認証での表示はJAS法違反です。
Q. 農地転用許可(第5条)の申請に必要な費用はいくらですか?
A. 申請手数料は無料ですが、添付書類の取得費用(登記事項証明書等)が別途必要です。行政書士に依頼する場合は10万円〜20万円程度の報酬が発生します。
Q. 農地転用許可(第5条)は第4条とどう違いますか?
A. 第5条は農地の所有権移転や賃借権設定を伴う転用の場合に必要です。つまり、他人の農地を買って(または借りて)農業以外に使う場合が該当します。第4条は自分の農地を自分で転用する場合です。
Q. 農地転用が許可されない場合はどのようなケースですか?
A. 優良農地(第1種農地)の転用は原則不許可です。また、周辺農地への影響が大きい場合や、事業の実現性が低い場合も不許可となることがあります。
Q. 第5条許可の申請費用と期間はどれくらいですか?
A. 申請手数料は数千円ですが、測量費・行政書士報酬を含めると20〜50万円程度が目安です。処理期間は約6週間〜2ヶ月で、農業委員会の毎月の締切日を確認する必要があります。
Q. 許可を受けずに転用するとどうなりますか?
A. 無許可転用は農地法違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人は1億円以下)が科される可能性があります。また、原状回復命令が出されることもあります。
Q. 農薬使用届出とはどのような届出ですか?
A. 農薬を使用する際に、使用状況を記録・届出する制度です。農薬取締法に基づき、農薬の適正使用を確保するために設けられています。特に住宅地周辺での農薬散布時に注意が必要です。
Q. 農薬使用にあたって注意すべき点は何ですか?
A. 農薬のラベルに記載された使用方法・使用量・使用時期を必ず守ること、また住宅地等に近い場所での散布は飛散防止措置を講じる必要があります。