パン屋・ベーカリーに必要な許認可
パン屋の開業
パン屋・ベーカリー開業に必要な許認可の全体像
パン屋の開業では、まず「どこで作って、どこで売るか」で必要な許認可が変わります。店舗の厨房でパンを焼いて売る一般的なベーカリーは、保健所の菓子製造業許可が中心になります。パンは法律上「菓子」に区分されるため、食品製造業許可の中でもこの菓子製造業許可が必須です。さらに、焼きたてパンをその場で食べてもらうイートインコーナーや、コーヒー・サンドイッチを提供する場合は、別枠で飲食店営業許可も求められます。製造と店内飲食を兼ねる店は二重許可になる点を最初に押さえてください。
取得すべき順序と依存関係
順序を間違えると店舗工事をやり直す羽目になります。
- まず食品衛生責任者を確保する。各施設に1名必須で、食品衛生責任者養成講習(1日・6時間程度)を受ければ取得できます。調理師・栄養士・製菓衛生師の資格があれば講習は免除されます。
- 次に物件を決めたら、内装工事の前に保健所へ図面を持って事前相談する。二槽シンク、手洗い設備、製造区画と客席の区分などは自治体ごとに細かい基準があり、完成後では直せません。
- 工事完了後に施設検査を受け、菓子製造業許可(イートイン併設なら飲食店営業許可も)が下りる。
- 許可取得と並行して、個人なら税務署へ個人事業の開業届を、法人形態にするなら先に法人設立登記を済ませます。
自宅の一室で焼く自宅パン工房の場合も、家庭用キッチンとは完全に分離した製造専用設備が必要で、家庭用と兼用のままでは自宅パン工房営業許可は下りません。
費用の目安
- 菓子製造業許可の申請手数料:1.4万〜2万円程度(自治体により異なる)
- 飲食店営業許可の申請手数料:1.6万〜1.9万円程度
- 食品衛生責任者養成講習:約1万円
- 防火管理者講習(甲種):8千円前後
これらは行政手数料で、実際の開業費用の大半は厨房設備とオーブン、内装工事です。
見落としやすい届出
火気を多用するパン屋では、店舗の収容人員が30人以上になると防火管理者の選任と消防への届出が必要です。客席を広く取るカフェ併設型で見落としがちです。
また、惣菜パンやサンドイッチを製造販売する場合、具材によっては菓子製造業許可とは別にそうざい製造業の許可が必要になることがあります。包装して棚売りするパンには食品表示法に基づく原材料・アレルゲン表示の義務もあり、2021年完全施行のHACCPに沿った衛生管理計画の作成も全事業者に求められます。
スケジュール感とつまずき
物件契約から開業まで、保健所相談・工事・施設検査を含めて最短でも1.5〜2か月は見込んでください。最も多いつまずきは、内装着工後に保健所基準を満たさないと判明し、シンクや区画の追加工事が発生するケースです。図面段階での事前相談を必ず先に行うこと、そしてイートインの有無で許可の数が変わることを設計前に確定させておくことが、無駄な出費を防ぐ最大のポイントです。