キッチンカー・移動販売に必要な許認可
車両を使って飲食物を調理・販売する業種です。営業する地域ごとに許可が必要です。
キッチンカー・移動販売の許認可全体像
キッチンカーは「店舗を持つ飲食店」とは許可の仕組みが大きく異なります。最大の特徴は、2021年6月施行の改正食品衛生法により営業許可が「飲食店営業(自動車)」に一本化され、かつ**営業する地域を管轄する保健所ごとに許可が必要**になった点です。東京で取った許可は隣県では使えません。出店エリアをまたぐなら、その都度・その保健所での移動販売許可(飲食店営業許可)取得が前提になります。
紐づく許認可のうち、開業時にまず必要なのは次の3つです。
- 食品衛生責任者(各車両に1名必須。資格がなければ食品衛生責任者養成講習を受講)
- 飲食店営業許可(自動車)=実質的な移動販売許可
- 個人事業の開業届(法人化するなら法人設立登記)
取得すべき順序と依存関係
順番を間違えると保健所の検査でやり直しになります。おおむね以下の流れです。
1. 食品衛生責任者養成講習を受講(1日・受講料おおむね1万円前後)。これが営業許可申請の前提資格になります。 2. 車両(キッチン部分)を仕様に合わせて製作・改造する。ここが最重要で、シンクの数・給水タンク容量で扱える品目数や営業範囲が決まります。一般にタンク40Lで「単一品目・要冷蔵なし」、80Lで「複数工程あり」、200Lで「仕込み・大量提供可」といった区分が保健所ごとに設けられています。提供メニューを先に決め、それに足りる設備を積むのが鉄則です。 3. 管轄保健所で事前相談 → 営業許可申請 → 車両の現地検査 → 許可証交付。仕込み場所(自宅キッチンは不可で、別途許可済みの仕込み施設が必要な自治体が多い)の扱いも必ず確認します。 4. 税務署へ開業届を提出。
道路使用許可(警察署)、露店営業許可、フードトラック営業許可(イベント・公有地出店)は、**出店場所が決まってから**取得するものです。私道・公道での販売は所轄警察署の道路使用許可、商業施設やイベントは主催者の出店枠+会場ルールに従います。
費用の目安
- 食品衛生責任者養成講習:約1万円
- 営業許可申請手数料:1万6千〜2万円程度(自治体差あり)。エリアを増やすほど保健所ごとに加算
- 車両:中古ベース改造で100万〜300万円、新車・本格設備で400万円超
- 道路使用許可:1件あたり数千円程度
最大の変動費は車両です。設備が許可基準を満たさず作り直すと数十万円の損失になります。
見落としやすい届出・つまずき
- 火気(カセットコンロ・発電機)を使う出店では、会場や自治体に火気使用届が必要なことがあり、収容人員の大きいイベントでは会場側で防火管理者の選任が問われる場面もあります。要否は所管消防・主催者により異なるため事前確認を。
- 「仕込みは自宅で」は多くの自治体でNG。仕込み専用の許可施設を確保していないと営業許可が下りないケースがあります。
- 給水・排水タンク容量を小さく作ったために、本当は出したかったメニューが許可されない、というのが最頻のつまずきです。
- 営業エリア追加のたびに保健所手続きが発生する点を、出店計画に織り込んでおく必要があります。
スケジュール感
車両製作に1〜2か月、講習受講と保健所の事前相談・検査・交付に2〜4週間が目安です。メニュー確定 → 車両仕様決定 → 講習 → 車両完成 → 検査の順で逆算し、初出店の2〜3か月前から動き始めると無理がありません。