訪問看護事業に必要な許認可
訪問看護サービスの提供
訪問看護事業の開業に必要な許認可の全体像
訪問看護ステーションを開設するには、まず指定申請の前提として法人格が必須です。個人事業の開業届では介護保険・医療保険の指定を受けられないため、株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人いずれかでの法人設立登記が事実上の出発点になります。法人格を持たずに開業できるのは、既存の病院・診療所が「みなし指定」で訪問看護を行う場合に限られ、この場合は保険医療機関指定を持つ医療機関が主体となります。
中核となるのが、都道府県(または政令市・中核市)への訪問看護ステーション指定(介護保険)の申請です。介護保険の指定を受けると、医療保険の訪問看護ステーション指定(医療保険)はみなし指定として自動的に扱われる仕組みのため、別途新規申請する必要は原則ありません。
取得すべき順序
- 法人設立登記(定款の事業目的に「訪問看護」「指定居宅サービス事業」を必ず記載)
- 事務所の確保と人員の確保(管理者となる保健師・看護師、看護職員 常勤換算2.5人以上)
- 都道府県への介護保険の指定申請(申請から指定まで通常1〜2か月、毎月1日付の指定が一般的)
- 介護保険指定の取得 → 医療保険はみなし指定として有効化
精神科の利用者を受け入れる場合は、地方厚生局へ精神科訪問看護・指導料施設基準届出を別途行います。定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所指定や看護小規模多機能型居宅介護事業所指定、訪問リハビリテーション事業所指定は、訪問看護ステーションとは別建ての地域密着型・複合型サービスであり、それぞれ市町村(地域密着型)や都道府県への個別指定が必要です。最初から手を広げず、まず訪問看護ステーション単独で開業し、後から事業追加するのが現実的です。
費用の目安と内訳
- 法人設立:株式会社で約25万円(登録免許税15万円+定款認証等)、合同会社で約10万円
- 指定申請手数料:自治体により無料〜数万円程度
- 運転資金:最低でも300〜600万円が目安
最大の負担は人件費です。看護師2.5人分の給与に加え、国保連・社保支払基金からの報酬入金は提供月の約2か月後となるため、開業直後は無収入で人件費が先行します。ここを甘く見ると資金繰りで行き詰まります。
見落としやすい届出・つまずき
- 介護保険指定だけ取って、医療保険のみなし指定の確認を怠る(地方厚生局への届出状況の確認を忘れる)
- 常勤換算2.5人の計算ミス。管理者は原則として常勤かつ保健師・看護師であり、准看護師は管理者になれない
- 定款の事業目的の記載漏れで、設立後に変更登記が必要になる
- 事務所の構造設備基準(利用者・職員の動線、感染予防、相談スペース等)の事前確認不足
人員2.5人を「採用予定」のまま申請しようとして指定が下りないケースが多く、内定や雇用契約を確定させてから申請に進むのが安全です。人員・設備・運営の各基準は自治体により細部が異なるため、申請前に必ず所管の都道府県・市町村の窓口で要綱を確認してください。