特別養護老人ホームに必要な許認可
特養の運営
特別養護老人ホーム開業に必要な許認可の全体像
特別養護老人ホーム(特養)は、介護保険法上は「介護老人福祉施設」、老人福祉法上は「特別養護老人ホーム」として位置づけられる入所施設です。最大の前提は、運営主体が原則として社会福祉法人または地方公共団体に限られることです。株式会社などの営利法人や個人事業では原則として開設できないため、最初に必要となるのは社会福祉法人設立認可です。一覧にある個人事業の開業届は、特養そのものの運営には使えず、開業届で始められる事業ではない点に注意してください。
施設規模によって指定権者と根拠が変わります。入所定員30名以上は都道府県知事による特別養護老人ホーム認可(介護老人福祉施設の介護事業所指定)を受けます。定員29名以下は地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護事業所指定となり、市町村が指定権者です。なお介護老人保健施設開設許可や養護老人ホーム認可は別類型の施設のもので、特養とは人員・設備基準も所管も異なります。混同しないようにしてください。
取得すべき順序(依存関係)
順序は依存関係に強く縛られます。
- まず社会福祉法人設立認可を所管庁(都道府県または政令市・中核市)から取得する
- 認可後に法人設立登記を行い、法人格を確定させる
- 施設整備(建設)計画について自治体と事前協議し、整備補助の枠を確保する
- 建物竣工に合わせて消防法上の防火管理者を選任し、消防計画作成届出を消防署へ提出する
- 最後に介護保険法に基づく介護事業所指定(特別養護老人ホーム認可)を申請し、指定を受けて開設する
法人設立から指定取得まで、最短でも1年半〜2年を見込むのが現実的です。社会福祉法人の設立認可審査だけで半年前後かかります。
費用の目安と内訳
特養は大規模な不動産取得・建設を伴うため、初期費用は数億円規模になります。
- 社会福祉法人の設立には基本財産が必要で、施設用地・建物を自己所有することが原則。土地建物を含めた整備費は規模により数億〜十数億円
- 建設費の一部は施設整備費補助金(国・都道府県・市町村)でまかなえる場合があるが、自治体の整備計画に組み込まれることが前提
- 介護事業所指定申請自体の手数料は数万円程度で、費用の大半は施設整備と人員確保
見落としやすい届出・つまずき
- 栄養士免許または管理栄養士免許を持つ職員の配置が人員基準上必要。求人・確保が遅れて指定申請に間に合わないケースが多い
- 施設長、医師(非常勤可)、生活相談員、看護・介護職員、機能訓練指導員、介護支援専門員など職種ごとの配置基準を満たす必要がある
- 消防計画作成届出と防火管理者選任は竣工後すぐに必要。指定申請時に消防の検査済証や届出済みが確認される
- 整備補助は単年度の自治体予算枠に左右されるため、計画段階で所管課と協議せず進めると補助を受けられない
最大のつまずきは「営利法人のまま事業計画を進めてしまう」ことです。特養は社会福祉法人設立認可が出発点であり、ここを飛ばすと後工程がすべて成り立ちません。整備補助・用地・人員確保は所管庁との事前協議を軸に、認可と指定の二段階を逆算してスケジュールを組んでください。