訪問看護ステーションに必要な許認可
訪問看護事業の開業
訪問看護ステーション開業に必要な許認可の全体像
訪問看護ステーションは、個人事業では指定を受けられません。介護保険法・健康保険法の指定基準が「法人であること」を要件とするため、まず法人設立登記が事実上の出発点になります。株式会社・合同会社・NPO・一般社団など形態は問われませんが、定款の事業目的に「訪問看護事業」「居宅サービス事業」を明記しておく必要があります。
事業の核となるのが訪問看護ステーション指定(介護保険)です。これは都道府県(指定都市・中核市では市)への指定申請で、管理者となる保健師または看護師を常勤専従で1名、看護職員を常勤換算2.5人以上配置することが人員基準です。設備基準として事務室・必要備品も求められます。
医療保険の訪問看護については、介護保険の指定を受けると健康保険法上の指定訪問看護事業者として「みなし指定」される扱いが基本です。訪問看護ステーション指定(医療保険)として別途の手続きが要否含め所管で異なるため、地方厚生局・自治体に確認してください。
取得すべき順序と依存関係
おおむね次の順で進みます。
- 法人設立登記(定款に事業目的を明記)
- 事業所物件の確保と設備整備
- 人員確保(管理者+常勤換算2.5人以上の看護職員)
- 介護保険の指定申請
- 指定の効力発生(多くの自治体で毎月1日付。前月10〜15日頃が申請締切)
人員と物件が揃っていないと申請を受理されないため、求人と物件契約は申請の2〜3か月前から動くのが現実的です。
状況により追加で必要な届出
提供サービスを広げる場合、以下が加わります。
- 訪問リハビリテーション事業所指定:PT・OT・STを配置しリハビリを提供する場合
- 精神科訪問看護・指導料施設基準届出:精神科訪問看護を算定する場合、地方厚生局へ
- 在宅酸素療法指導管理に関わる届出:在宅酸素の患者対応で関係
なお、在宅療養支援診療所届出・在宅療養支援病院届出・保険医療機関指定・助産所開設許可・看護師養成所指定・患者等搬送事業認定・MSW配置届出は、原則として連携先の医療機関側や別事業の許認可です。ステーション単体の開業に直接は不要なケースが大半なので、自院併設や多角化を想定する場合のみ検討します。
費用の目安とつまずきやすい点
- 法人設立:株式会社で約20〜25万円、合同会社で約6〜10万円
- 物件・備品・車両・ユニフォーム等の初期費用
- 運転資金:人件費の3〜6か月分
最大の落とし穴は資金繰りです。介護報酬・診療報酬はサービス提供月の翌々月入金のため、開業から2か月以上は収入ゼロで人件費が先行します。常勤換算2.5人の確保も難所で、内定者の急な辞退で申請月がずれる例が多く見られます。指定の締切と入金サイクルから逆算し、人員と運転資金を厚めに準備しておくことが安定開業の鍵です。