Web開発会社に必要な許認可
Webサイト・Webアプリの開発
Web開発会社の開業に許認可はほぼ不要
Webサイト・Webアプリの受託開発そのものは、特定の許認可を必要としない業種です。プログラミングや制作を売るだけなら、開業のために役所の許可を取る必要はありません。最初にやるべきは事業形態の確定で、個人なら税務署へ個人事業の開業届を提出するだけ、法人化するなら法人設立登記を行います。ここが他業種と違い、許可待ちで開業が遅れることがない最大の特徴です。
順序の基本
1. 事業形態を決める(個人=開業届 / 法人=設立登記) 2. 受注する案件の領域を棚卸しし、規制業務が含まれるか確認する 3. 該当する場合のみ、後述の届出・認定・許可を取得する
開業届・設立登記は無料〜数千円(法人登記は登録免許税15万円〜、司法書士依頼で+10万円前後)。ここまでは全Web開発会社に共通です。
「状況により必要」になるもの
実務で発生頻度が高いのは次の3つです。
- 労働者派遣事業許可:自社エンジニアを客先に常駐させる契約形態(いわゆる派遣)を取るなら必須。請負・準委任のSESなら不要だが、指揮命令の実態が派遣に当たると無許可違反になる。資産要件(基準資産2,000万円以上等)があり取得は重い。
- 電気通信事業届出:自社でレンタルサーバー・メール・チャット・SaaS等、他人の通信を媒介するサービスを提供する場合に必要。単なるサイト制作・納品では不要。
- プライバシーマーク付与認定:個人情報を大量に扱う案件や、取引先から取得を求められた場合。任意認証だが受注条件になることがある。費用は審査で30万〜数十万円+年間維持。
開発領域が規制分野に及ぶ場合
扱うシステムの分野によっては、運営主体側に固有の認定・届出が課されます。これらは「Web開発会社の開業要件」ではなく、納品先のサービスが満たすべき要件である点に注意してください。具体的には、電子契約プラットフォーム届出・電子印章サービス登録・デジタル認証業務認定(電子署名法の認定認証業務)、医療分野ならオンライン医療システム認定や電子処方箋サービス届出、行政・金融分野なら電子入札システム認定・インターネットバンキングシステム認定・RegTechサービス提供届出やマイナンバー情報連携事業届出、ドメイン事業に踏み込むならレジストラ認定、公共調達向けならウェブアクセシビリティ適合認証(JIS X 8341-3 準拠)といったものです。これらは要否・所管庁・基準が分野ごとに大きく異なるため、案件ごとに発注元・所管庁へ確認するのが確実です。脆弱性情報取扱い届出(IPAの早期警戒パートナーシップ)やデジタルサイネージ設置事業届出、オープンソースライセンス管理事業届出も、提供形態次第で検討対象になります。
よくあるつまずき
- SESを「請負」と思い込み、実態が派遣で無許可営業になっているケース
- 自社SaaSを始めた途端に電気通信事業届出が必要になるのに気づかない
- 取引先から後出しでPマーク取得を求められ、受注に間に合わない
スケジュール感
開業届・設立登記だけなら即日〜2週間。派遣許可は申請から2〜3ヶ月、Pマークは半年前後を見込みます。開業自体は止まらないので、まず開業し、規制領域の案件が見えた時点で逆算して各認定を取りに行くのが現実的です。