注文住宅建築に必要な許認可
注文住宅の設計・建築
この業種の許認可の全体像
注文住宅建築は「設計」と「施工」の二つの業を一社で担うケースが多く、必要な許認可も両系統にまたがるのが特徴です。設計・工事監理を報酬を得て請け負うなら建築士事務所登録が必須で、その登録には管理建築士となる有資格者が前提になります。木造2階建て中心なら二級建築士登録と二級建築士事務所登録、平屋・小規模木造に絞るなら木造建築士登録と木造建築士事務所登録で足ります。
施工側では、請負金額が建築一式工事で1,500万円以上、または延べ面積150㎡以上の木造住宅を請け負う場合に建設業許可(建築一式工事)が必要です。大工工事・鉄筋工事・建具工事などを単独で500万円以上請け負うなら、それぞれの専門業種許可も追加で要ります。
取得すべき順序
1. 事業形態を決め、法人設立登記または個人事業の開業届を出す 2. 管理建築士となる人の建築士登録(二級・木造)を確認し、建築士事務所登録を行う 3. 経営業務管理責任者・専任技術者の要件を満たして建設業許可を取得する 4. 物件ごとに建築確認申請を行い、2025年4月以降は原則すべての新築で建築物省エネルギー適合性判定(省エネ適判)を通す 5. 引渡し前に住宅瑕疵担保責任保険へ加入する
建築士事務所登録は実務経歴のある建築士を確保できないと進まないため、人の手配が全体のボトルネックになりやすい点に注意してください。
費用の目安
建築士事務所登録は都道府県ごとに登録手数料1〜2万円程度。建設業許可は知事許可・新規で法定手数料9万円、行政書士に依頼すると報酬込みで15〜25万円が相場です。瑕疵保険は1棟あたり数万円。省エネ適判の手数料は規模により数万〜十数万円で、確認検査機関により異なります。
見落としやすい届出
住宅瑕疵担保履行法では、保険加入とは別に建設業者としての保険加入状況の届出(住宅瑕疵担保責任保険法人への届出・基準日ごとの届出)が義務付けられており、怠ると新規請負が制限されます。下水道未整備地域では浄化槽設置届出、公共下水道区域なら公共下水道使用開始届が物件ごとに必要です。基礎・型枠工事を自社施工するなら型枠支保工の組立て等作業主任者の選任も忘れがちです。
分譲や宅地造成を伴う場合は開発許可、都市計画施設の区域内では都市計画法53条許可が前提になり、これらは着工前の長い審査期間を見込む必要があります。
スケジュールとつまずき
建築士事務所登録は数週間、建設業許可は申請から取得まで1〜2か月かかります。公共工事に参入するなら、許可取得後にさらに経営事項審査(経審)を受ける流れで、決算後の手続きになるため初年度は受注できないことがあります。長期優良住宅認定・低炭素建築物認定・住宅性能評価は任意ですが、補助金や住宅ローン優遇の条件になるため、設計初期に取得方針を決めておかないと後戻りできません。要否や手数料は所管の都道府県・確認検査機関により異なるため、着手前に管轄窓口で確認してください。