金属加工業に必要な許認可
金属部品の加工・製造
金属加工業の開業に必要な許認可の全体像
金属加工業は「事業を始めること自体」に営業許可は不要だが、加工機械の設置と労働安全・環境規制が許認可の中心になる。プレス、研磨、溶接、メッキ、熱処理など工程によって必要な届出が大きく変わるため、まず自社の工程を確定させてから逆算するのが正しい順序になる。
事業形態の届出は最初に済ませる。個人なら個人事業の開業届、会社にするなら法人設立登記を先に行う。工場物件を借りる前に防火管理者の選任が要るかを確認しておくと、消防同意で手戻りしない。
機械設置に伴う環境・公害系の届出(着手の早い段階で)
金属加工で見落としやすいのが特定施設の届出だ。プレス機や圧縮機、研磨機は騒音規制法・振動規制法の特定施設に、メッキや酸洗いの工程は水質汚濁防止法の特定施設設置届出に該当することが多い。塗装ブースや溶解炉があれば大気汚染防止法の特定施設設置届出やばい煙発生施設届出も必要になる。これらは設置工事の30日前までの届出が原則で、操業開始ぎりぎりでは間に合わない。
下水道に排水する場合は下水道排水届出を、敷地が大きい工場(工場立地法の規模要件に該当する場合)は工場立地法届出を行う。規模要件・特定施設の判定は自治体・所管庁により異なるため、設備リストを持って事前相談するのが確実だ。
労働安全衛生まわりの選任・資格(人を雇う段階で)
従業員数に応じて段階的に義務が発生する。小規模なら安全衛生推進者選任届、規模が大きくなれば衛生管理者免許の有資格者選任と産業医選任届出が必要になる。安全衛生管理計画届出も併せて整える。
金属加工特有なのが作業主任者と技能資格だ。溶接ならガス溶接作業主任者免許、メッキ・はんだなど鉛を扱うなら鉛作業主任者、酸・有機溶剤を扱うなら特定化学物質等作業主任者を選任する。ボイラー・圧力容器を使うなら第一種圧力容器取扱作業主任者、構内運搬にはフォークリフト運転技能講習修了証が要る。これらは講習・試験で取得するため、人員確保と並行して早めに受講予約を入れておく。エネルギー多消費工場ではエネルギー管理者選任届出、公害防止組織が必要な工場では公害防止管理者資格の取得も求められる。
製造品目・取引形態による追加許認可
圧力容器そのものを製造するなら圧力容器製造許可・圧力容器製造届出、ガス機器を作るならガス用品製造事業届出が必要になる。自動車部品を手がける場合は自動車部品製造業届出を確認する。
建設現場で鉄骨や板金工事を請け負う形態なら、500万円以上の工事には建設業許可(鋼構造物工事・板金工事)が必要だ。製造業のつもりでも現場据付まで請けると該当するので注意する。輸出を行うなら保税工場許可や認定輸出者(AEO)の取得で通関を効率化できる。
費用感とスケジュール
費用は資格講習が1資格あたり数万円、各種特定施設届出は手数料が無料〜数千円程度だが、騒音・振動・排水対策の設備投資が実質的な負担になる。法人設立は登録免許税等で20万円前後。許認可取得そのものより、特定施設の届出から操業まで30日以上空けることと、作業主任者の確保が日程のボトルネックになりやすい。工程確定→物件・設備選定→環境系届出→安全衛生の選任・資格取得、の順で2〜3か月を見込むと無理がない。